漫画「千年万年りんごの子」感想
試し読みで1巻読んで続きが気になっていた漫画で、
この前TSUTAYAで発見してレンタル。長い話なのかと思ったら3巻で完結。
雪の降る寒い日、お寺に捨てられていた過去を持つがゆえに孤独感を抱える雪之丞が早く家を出たいという理由でお見合いをする。そこで出会った女性・朝日に入り婿できてください!と言われて驚くものの承諾する。
私はりんごの子と言ってりんごを愛する朝日。そんなある日、朝日が熱を出して寝込んだ時、雪之丞がたまたま見つけた黒森のりんごの木の実を持ち帰って朝日に食べさせると、それは食べてはいけない”おぼすな様”のりんごの木だった。そこからはじまるのはまるでにほんむかしばなしのような村の言い伝えと儀式。
絵のタッチが好きです。
雪之丞の表情の変化とかりんごのツヤの感じとか。
全体は暗い話なのにところどころ朝日の明るさでほわっとします。
なんとなくりんごの摘花の話が印象的でした。
以下ネタバレ
りんごを食べておぼすな様の嫁になってしまった朝日。それは生贄のような風習で1年後連れて行かれるという。それをどうにかしようと試みる雪之丞は最初は自分の責任を感じてだったと思うけど必死に繋ぎとめようとしながら朝日に対する想いも膨らんで切なかった。そしてどんどん身体が小さくなっていく朝日、それに伴い記憶も失われてさらにもうこのままでは間に合わないと思い雪之丞はついに木を燃やすことに。燃やしてそちらで話そう、そう言って自らも炎の中へ。
目覚めた先はなぜか本家に。そして朝日が居てどうやらすこしづつあちらからこちらにきていたみたいで雪之丞は自分と代わろうと提案する。朝日は断るが雪之丞がどうやってきたかに気づいて雪之丞に生きてほしいと願う朝日は騙してりんごを食べさせて常世から現世へ返す。
残ったのは燃え尽きたおぼすな様の木。
祟りを恐れて村の人の感情は辛いものだけどそれでも見守ると約束した雪之丞。12年後何事も起こらなかったことでようやく家族に迎えられて大晦日、りんごを食べるとあの日朝日が出したりんごと同じ味。
土葬してねと頼んだ朝日。形は違うけど巡り巡ってりんごになったんだなと思った。
読んだあと話数が少ないから少し物足りない様な気もするけど、
直後より思い出してじわじわ感じるものがあります。